関西福祉科学大学の食育~地域に根ざした食育~

【目的】

朝食欠食や野菜不足など若年者の食生活には課題が多く、食育基本法に基づく第2次食育推進基本計画では、幼児期から若年者、地域住民などライフステージに応じた食育を進め、生活習慣病を予防することが目標となっている。管理栄養士養成課程である本学科では学生が授業で学んだ内容を活かして、授業外で食育実践活動の経験をすることが、学生自身の食生活の改善につながるとともに、社会貢献の喜びとなり、さらなる向上心につながる。そこで、本学科では、様々なライフステージにあわせた食育を実施し、幼稚園児及びその保護者、大学生の健康づくりの推進を図るとともに、学生が授業で学んだことを生かして食育を体験し、管理栄養士像の理解をすすめることを目的とする。

 

1.幼稚園児への食育

(1)とき

H27年1月15日(木)午前10時40分から正午まで

H27年1月16日(金)午前10時40分から正午まで

(2)ところ

関西女子短期大学附属幼稚園

(3)内容

福祉栄養学科2年生が幼稚園に出向き、”野菜となかよくなろう”の食育を実施した。幼稚園の保育室でmまるのままの本物の野菜のやパズルなどを使った食育と、「ミックスベジタブル入りホットケーキ」のクッキングを行った。

当日の流れ

1)大学の教室に集合し最終打ち合わせを行ってから食育グッズを持ち、幼稚園に出向く。

2)それぞれが幼稚園の各保育室に入り、あいさつのあと、小グループに分かれて食育を行う。

3)2)の食育と並行して、ホットプレートを順番に使って、ホットケーキを調理する。

4)全員でいっしょにホットケーキを試食し、終わりのあいさつをして終了。

(4)参加者

関西女子短期大学附属幼稚園4歳児5クラス122人、福祉栄養学科2年生74人

☆食育で使う野菜や、調理材料、器具など分担して持っていきました。

☆2日間にわたり、4歳児の保育室5クラスに分かれて食育を実施しました。
保育室に入り、学生と園児でご対面。「よろしくお願いします」

☆ぶどう、小松菜などの地域の産物やその他の野菜・果物の写真をジグソーパズルにしました。簡単そうで意外と難しいものもあり、学生も園児も楽しみながら挑戦しました。

☆野菜のカードを使って、絵合わせをしました。知っている野菜があれば、大きな声で野菜の名前を言ってくれました。学生が驚くほどよく知っている園児もいました。

☆まるのままの本物の野菜に触れて観察しました。大きさ、重さを感じたり、「すべすべしてるね。」と触ったり、匂いをかいだりしました。知らない野菜についても学生の説明を真剣に聞いていました。

☆手洗いをして、「ミックスベジタブル入りホットケーキ」を作りました。チーズをちぎって入れたり、材料をまぜたりしました。

☆ホットケーキを焼き上げ、学生といっしょに食べました。
ふだんは野菜がきらいで殆ど食べないという園児も残さず食べました。幼稚園の先生も驚いておられました。

園児に食育をおこなった学生の“学びのシート”から(抜粋)
ホットケーキを裏返すのができると、すごく喜んでいたので、“できる”という経験はとても大きなことなのかなと思いました。安全面を考慮した上で、年齢に応じてできることはどんどん体験してもらうことが、食育で大切なことの1つであると改めて思いました。
実際に野菜を持ったり、匂いをかいだり、切り口を見たりするときが、一番楽しそうでした。かぼちゃに種がいっぱいあることを知ってる子はお母さんのお手伝いをしているのかなと思いました。「にんじんは皮をむいてもオレンジ色だよ」と知っていることを全部話してくれる子もいて、とてもうれしかったです。
ジグソーパズルは4枚ですぐにできてしまうのではないかと思ったが、難しかったようでかなり苦戦していた。けれど完成するまでチャレンジする姿勢に感心した。
子どもたちの知りたい!やりたい!と思う気もちを大切にして、良いところを伸ばし、もっともっと野菜や料理に興味を持ってほしいと思いました。
野菜の実物を見て触ってもらうとき、とてもたのしそうにして、興味津々で、目のつけどころがおもしろかった。あんなにまじまじと野菜をみたのははじめてだったので、私も発見や気づきがあった。
まだまだ他人に食育を行うには力不足なので、これからも知識面など努力していきたいと思いました。
子どもたちは私が思っていた以上に野菜のことを知っていて、料理をする際に友達のことを思えるとても優しい子たちばかりだとわかりました。
普段、子どもと接する機会があまりないので、とてもよい勉強になりました。これを活かしていきたいと思います。
園の先生が「お母さんたちは毎日お料理を作ってくれているから感謝しましょうね」と言ってましたが、本当にそうだと思い、印象に残っています。
私が担当した子たちは野菜が好きだし、良く知っている子ばかりでした。家でしっかり食育をうけているからなのかと思いました。

2.大学生への食育(他学科学生への食事診断と指導)

(1)とき

H26年12月3日(水)、4日(木)いずれも午後12時15分から午後12時55分まで

(2)ところ

関西福祉科学大学大学本館1階食堂横(4)試食・グループワーク進行役・学科学生

(3)内容

福祉栄養学科のボランティア学生(2年生13人、3年生10人)が、大学生、その他教職員を対象に、日頃の食生活について考え見直してもらうことを目的に、実物大のフードモデルを使用し簡便に食事診断を行うことができる食育SATシステムを使っての食事診断と指導を行った。

(4)参加者

食事診断した学生・教職員3日19人、4日26人計45人、福祉栄養学科のボランティア学生23人

☆対象となる学生・職員は、テーブルに並べられた料理のフードモデルからよく食べる一食の組み合わせを選んでトレイに乗せて、指導をする福祉栄養学科の学生のもとへ。

☆福祉栄養学科の学生が、専用ソフトによってプリントアウトされた食事診断結果をもとに、指導・助言をしました。指導を担当した学生からは、「参加して下さった学生さんの中には、炭水化物中心の食事や、脂質過多などバランスの偏った食事内容の方が多かったです。この指導をきっかけに、食生活を少しでも改善していこうと心がけていただけたら嬉しいと思いました。」などの声がありました。

 

3.大学生への食育(ベジ食べる料理教室)

(1)とき

H27年2月6日(金)午前10時から午後1時頃まで

(2)ところ

関西福祉科学大学大学3号館調理実習室B

(3)内容

他学科の学生を対象に、日頃の食生活を見直してもらうことを目的に、「ベジ食べる料理教室・春のかおりの松花堂弁当」を開催した。福祉栄養学科のボランティア学生が食育リーダーとなって運営し、料理の作り方の説明、食育クイズ等を行った。

(4)料理教室に参加した学生

他学科学生26人、福祉栄養学科ボランティア学生16人


☆福祉栄養学科の学生が食育リーダーとなり、作り方の説明や各グループでのサポートを行いました。

☆松花堂弁当への盛り付けも上手にできました。美しくできあがった料理に感激してスマホで写真を撮る学生が多くみられました。食べてみて野菜のおいしさを再認識したようです。

☆食事のあとは食育クイズに挑戦。グループ対抗で盛り上がりました。教室終了後、食育リーダーとなった学生からは、「参加者に指示を出したりするのが難しかったが、やりがいがあった。」「きょうの経験を今後に活かしたい」などの感想をきくことができました。

 

4.幼稚園保護者への食育(地場産野菜をみなおし、親しもう)

募集チラシはこちらから

(1)とき

H27年3月6日(金)午前10時30分から午後1時30分まで

(2)ところ

関西福祉科学大学大学3号館調理実習室B

(3)内容

幼稚園の保護者を対象に講演と調理実習を実施した。調理実習では福祉栄養学科のボランティア学生が食育リーダーとなり、サポートを行った。

1)あいさつ福祉栄養学科長峯松正敏

2)講演「地場産野菜をみなおし、親しもう」

講師大阪国際大学短期大学部ライフデザイン総合学科

准教授浅井千佐子

3)料理教室「春のかおりの松花堂弁当」

講師健康福祉学部福祉栄養学科准教授澤田崇子(調理学担当)
健康福祉学部福祉栄養学科講師有泉みずほ(栄養学担当)
サポート学科学生2~3年生

4)試食・グループワーク

(4)参加者

幼稚園児の保護者と教諭等30人、福祉栄養学科ボランティア学生14人

配布資料はこちらから

 

ポスター

当日の次第

学科長あいさつ・日本フードスペシャリスト協会の紹介

講演『地場産野菜をみなおし、親しもう』

講師 大阪国際大学短期大学部
   准教授浅井千佐子先生

講演資料の一部

講演資料の一部

講演資料の一部

講演資料の一部

講演資料の一部

講演資料の一部

講演資料の一部

講演資料の一部

 

料理教室「春のかおりの松花堂弁当」

春のかおりの松花堂弁当 レシピはこちら

    講師 健康福祉学部福祉栄養学科 准教授 澤田崇子(調理学担当)

       健康福祉学部福祉栄養学科 講 師 有泉みずほ(栄養学担当)


献立には地元の名産品「若ごぼう」や「小松菜」を使いました。

保護者の方といっしょに、食育リーダーの学生も作り方の説明を聞いています。

保護者の料理の手際の良さに圧倒されながらも学生は器具を用意したり、
調味料の確認をしたりしながら段取りを考えました。

炊き合わせは下処理した材料(麩、菜の花、里芋、わかめ)を薄味のだしで炊きました。だしが効いておいしいと非常に好評でした。

学内の「たっぷりVege食べる料理コンテスト」で入賞した献立「こまつなめこと豆腐の炒めもの」もメニューに加えました。


若ごぼうの炊き込みごはんは炊飯器のふたを開けるとフワッと若ごぼうの香りがしました。

物相でごはんを型抜きし、松花堂弁当に盛り付けて、美しくしあがりました。

保護者と学生が和やかに食事しました。子どもの食生活の話など、保護者の方から学ばせてもらうことの多い会食となりました。若ごぼうは家庭でも使っていただけるよう、おみやげにしました。

食育セミナー参加者の感想から(抜粋)
幼稚園児の頃から食材に接する機会を親が作っていくことが大事だとわかりました。
料理は毎日のことなので、作って家族に食べてもらうのに必死でした。作る食材の事も意識して楽しんで料理していきたいと思いました。
大阪に転居してくる前は畑でトマト、オクラ、スナップエンドウ等を作り、食べてました。ベランダですが、これからまた野菜を育てたり、家族でごはんを作ろうと思います。
だしの味がきいていて、とてもおいしかったです。若ごぼうをいただいたので、明日、作ろうと思います。とても楽しい時間をありがとうございました。
日頃の食生活のことを改めて考えさせられました。若ごぼうの調理方法もいろいろ知れて良かったです。
若ごぼうの調理のしかた等参考になりました。食育の話では、子どもと楽しく食事をする大切さをあらためて感じました。
親としてとても考えさせられる講演でした。まずは朝食をきちんと摂り、子どもといっしょに食事を作って食育をできたらなと思います。
ひとつひとつは簡単で、家でもすぐに取り入れたいと思います。だしのおいしさを再認識しました。
とても色よく、おいしく春を感じ食べることができました。炊き込みごはんは明日にでも作り、皆で春を楽しみたいと思います。
地場のいろんな野菜を知りました。特に若ごぼうは使い方がわからず今まで使いませんでした。これを機に使おうと思います。
案内の写真を見て、こんなにきれいな料理をつくることができるのかなと思いましたが、とても美味しく作ることができました。家でも作ってみたいと思います。
どのメニューも春を感じることができました。準備、片づけ等学生の方に感謝します。


[おわりに]

今回は日本フードスペシャリスト協会の助成を受けて有意義な食育を実施することができ、感謝いたします。今後、大学HP、学園広報、福科大通信、教育後援会広報などにおいて活動報告の予定です。