平成27年 食に関する一般向け啓発事業報告書
日本女子大学家政学部食物学科

1.事業の名称

手軽においしく、もっと野菜を食べよう!

2.開催日

2015年10月17日、18日

3.開催場所

日本女子大学 給食経営管理実習室

4.スタッフ

日本女子大学食物学科3年有志

5.参加者・年齢層(2日間)

男性:108名 女性:292名 計400名 年代別内訳 10歳未満1%、10代12%、20代29%、30代6%、40代16%、50代28%、60代8%

6.目的

日本人の食生活の問題点の一つとして、野菜の摂取不足があげられる。厚生労働省は生活習慣病予防のために1日に350gの野菜を摂取するように推奨しているが、その目標量に達していないことが国民健康・栄養調査で明らかになっている。

そのため、大学生や自分たちと同世代の人々を対象に野菜摂取不足の問題を提示し、改善方法の提案をすることを目的とする。

7.内容

学園祭において「手軽においしく、もっと野菜を食べよう!」をテーマに、野菜を使った食事提供と野菜に関する研究発表を行った。

 

①アンケート調査

大学生の野菜に対する意識を明らかにするために、日本女子大学生327人に対してアンケート調査を行い、以下の点が明らかになった。(展示ポスター①)

調査結果から、野菜を摂取するように意識している人は多いものの、実際にどのくらい野菜を食べればよいかを分かっている人は少なく、また、野菜を食べることに対する様々なハードルがあることが判明した。

②文献調査・展示

今回のテーマである「野菜」を食べることの重要性について、野菜を1日350g摂取することが推奨されている理由、その根拠である野菜に含まれるビタミン・ミネラルやその他有用な成分を解説するポスター展示を行った。(展示ポスター②)

アンケート調査で判明した問題点についての展示も行った。一日に摂取が推奨されている野菜量をイメージしやすくするために、350g分の野菜をフードモデルで示し、さらにその野菜を同じ重量使用して作った野菜料理を展示することで、具体的な理解につなげた。

 

 

野菜を食べることに対するハードルとして挙げられていた「手間や時間がかかる」「野菜を使いきれない」「バリエーションが少ない」に対しては、調理のコツ、冷凍野菜のメリット、野菜の保存方法についてのポスターを展示することで、少しでも野菜を食べることへのハードルを低くするための情報提供を行った。

また、提供した料理について、栄養価やアピールポイント、使用している、秋〜冬に旬を迎える野菜にまつわるマメ知識などを提示した。

 

 

③食事提供・メニュー提案

手軽に調理でき、野菜嫌いな人でも食べやすい料理のレシピ開発をめざし、食事提供とリーフレットによるメニュー提案を行った。

 

【提供した料理】

雑穀ご飯と特製ふりかけ
雑穀ごはんの米は五分つき米を使用し、4種類の雑穀を混ぜた。ふりかけは、料理する際に出た野菜の皮や葉、余りを使用した。
鮭と大豆のコロッケ~人参ソース添え~
鮭の水煮缶と大豆の水煮缶を使用した。味付けはシンプルに塩のみとし、玉葱と人参で作ったソースを添えた。
かぼちゃのポタージュ
「手軽に調理」という観点から冷凍南瓜を使用した。塩麹でまろやかな塩味をつけ、南瓜の甘さを活かしつつ、飲みやすい仕上がりにした。
柚子胡椒サラダ
大根、人参、紫玉ねぎ、水菜を使って彩り良く仕上げた。手作りの柚子胡椒ドレッシングは、柚子の香りとピリッとした辛さを特徴とする。
秋野菜を使ったラタトゥイユ風
秋野菜のカブとキノコを使ったラタトゥイユ。野菜の水分だけで蒸し煮することで野菜の旨味を凝縮した料理。ニンニクとローリエ、こしょうで香り付けをし、味付けには天然の塩を使用した。
冬瓜のアップルティーゼリー
野菜である冬瓜をコンポートにした。それを、本学のシンボルである桜楓にちなみ桜と楓の形に型抜きし、アップルティーゼリーの中にあしらった。

 

【エネルギーおよび栄養素供給量】

エネルギー たんぱく質 脂質 炭水化物 食塩相当量 食物繊維
601 kcal 17.9 g 19.2 g 91.1 g 1.8 g 9.2 g

 

エネルギー及び栄養素供給量は、成人女性に対して1日に推奨されている量の1/3をおよそ満たしている。提供した料理には野菜が265g含まれており、1日に摂取が推奨されている野菜重量の75%に相当する。

リーフレットでは、提供したメニューの家庭向けレシピや、野菜をたくさん使用した作り置きレシピ、野菜を調理・保存する際のコツなどをまとめた。

8.参加者へのアンケート結果

参加者へのアンケートでは、今回のランチを通じて野菜をもっと食べようと思った人が67%、「手軽においしく、もっと野菜を食べよう!」というテーマに沿った献立であったと思った人が81%おり、食事提供・ポスター展示・リーフレット配布を通して、食や健康、野菜摂取について関心を持ってもらうことができたのではないかと思われる。